スプートニク2号

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 彼女は質素な宇宙服を着せられ、訓練の時よりもっと狭いキャビンに乗せられた。  同時に、注射も射たれていた様であった。科学的に、心拍数が分かるよう電極を入れるためであると言う。  最後に飯でも食わせてやれ。そう言った所長から手渡されたご飯を、私は彼女に与えた。やはり、チューブで。  最後の最後まで、彼女の瞳は曇ることはなかった。  頭を撫でてやった。それが、彼女との最後のふれあいだった。  キャビンの扉が閉まる。  いよいよ、お別れだ。
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