灰春

2/5
前へ
/11ページ
次へ
俺の中学生時代は、とてもといって青春じゃなかった。 全く青くなかったからだ。 例えてみるなら、灰色だった。 そうだ、灰春だ。 俺は、何より地味と言うことにこだわっていた。 言うなれば平凡な地味さだ。 目立つなんてもってのほかであり、だが地味すぎても駄目だった。 程よい地味さ。 成績も運動も容姿も。 平均でパッとしない感じ。 友達はいるが、最高に仲の良い友達はいない。 かと言って友達が少ないわけでもない。 広く、浅くって感じかな。 何に対しても、平均的で地味。 それが俺が何よりも欲しかった定位置だった。 懸命な努力のせいか その定位置は中学入学してまもなく手に入り、俺は地味で平和的な日々を送っていた。 そんな日々が打ち砕かれたのは、中学2年生の冬である。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加