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そうだけど。
そう俺が言うと同時に、上條の瞳がキラリと妖しい光を放った。
何故だか体が震えた。
これから起こることを予期しているように。
上條は、俺の肩から手を離すと両手を勢いよく合わせた。
パァンとした乾いた音が響く。
そして俺に向かって腰を90度に折り曲げた。
まぁ言うなれば、勢いよく両手を合わせて勢いよく頭を下げたのだ。
「お願い!!生徒会に立候補して!!」
大きな声で叫びながら。
「……はぁ?」
あまりにも、いきなりの事で俺は開いた口が塞がらなかった。
生徒会…?
それってお前、全校生徒を代表した委員会の訳で…
アレ、議会とか集会とかで議事進行務めたり、文化祭の企画考えたり……
って待て。
めちゃめちゃ派手な役職だろう。
「ハァァァアア!?なんで俺がァァア!?」
なんで徹底的な地味を求める俺が、そんな派手な仕事を立候補せにゃならんのだ。
拷問だろう。
思わず、引いた体だったがにゅうと伸びてきた上條の手にがっちりと掴まれた。
「いや、マジで頼むって!俺、選挙監理委員なんだけど今回の生徒会選挙に立候補者が少ないんだよ!役職が埋まってないの!その場合、選挙監理委員は誰かを説得して立候補してもらわなきゃいけねーんだよ!」
「だからって、何で俺が!?もっとほかの奴いるだろうが!!」
「いや~それなんだけど、一応生徒会に立候補するって訳だから俺らが推薦しようとする奴に先生からのチェックが入るんだよね~」
アハハ~と呑気に笑いながら、頭を掻く上條。
「ほら、お前って1年間学級代表やってたじゃん?それに部活だって入ってないし…性格だって真面目だし…一番合ってんじゃないかって思ってさ」
「だからって…」
半分絶望しながら、俺は力なく言った。
これならもう1年間学級代表やる方がマシだ。
そう言おうと口を開いたが、途端に上條がうなだれた。
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