帰省

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葬儀の日程が決まり次第また連絡をするように言い電話をきった。 程なくして母親が迎えに駅に着いた。 後部座席に荷物を置き助手席に座った。 「いきなりこんなことになってなぁ。」 母親は車が走り出すと直ぐに兄の話を始めた。 「何も変わったとこなかったん?」 「ないよ。いつも通り。出勤の準備までしてたんやし。」 「…。それは不思議やな。職場関係とか?」 「どうなんかな?遺書にもそんなこと一切書いてなかったしなぁ。」 「遺書?」 俺は今まで忘れていたというより思い付きもしなかった。自殺したんだから遺書があるはずだ。
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