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父親は覚えていないが発狂に近いほど兄の名前を呼び、中に入れろと叫んでいた。
それから周辺は騒然としていた。
十数人の消防関係の人達が集まり除去作業を始め、野次馬や一部新聞記者も駆け付けていた。
「すいません。撮らないで下さい。」
夜勤を終え帰ってきた母親が弱々しくそう告げた。
「考えて撮れよ。」
見兼ねた刑事が口を出す。
そのお陰か翌朝の新聞の記事になることはなかった。
父親は病院に連れていかれ検査を受けた。
喉に痛みがあったものの体に異常はなかった。
検査を受け父親が帰ってきてもまだ家には入ることが出来なかった。
結局家に戻れたのは午後1時を過ぎてからだった。
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