帰省

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「あ、もしもし。」 「もしもし、父さん?」 「昇か?」 「うん。母さんから連絡があったんやけど。」 「そうなんや。今それで家に入れんくて。あの硫化水素が残ってるからって警察とか来てな。」 「硫化水素?」 「うん。風呂場で作ってたみたいでな。」 「…。」 「昨日な。雄大が父さんテレビ始まったよって教えてくれてな。二人で笑ってて。今日は早出でな、朝行く準備もしててな。」 「…そうなんや。」 「風呂場で倒れてるの発見して父さん心臓マッサージしたんやけどな…。」 「…父さん。兄貴、死んだんよな?」 「……そうだな。」 兄は本当に死んだんだ。 いきなり現実を叩きつけられた。 そのとき初めて涙が流れた。 父親の声は弱々しくかなりショックを受けている感じだった。 「しっかりするんやで。崩れちゃあかんで。」 って励ましたが凄く心配だった。
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