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あたしは一歩後ろに下がった
「何でッ!?…何であなたが居るの?」
彼はニッと笑った
「よぅ、分からんけど戻って来てもうた」
彼の無邪気な笑顔は教室で見たことのある笑顔だった
「そ、それに何であたしの名前…」
あたしは明らかに動揺していた
手足の震えが止まらない
あたしは幽霊なんて信じない!!
「春風 美海…。クラスメイトやろ?」
彼は笑顔のまま近づいてきた
「やだっ!!来ないで…」
「…何で泣かんかったんや?」
彼がいきなり立ち止まって言った
「…え?」
彼は俯いていてあたしから彼の顔は見えなかった
「昨日、何で泣かんかったんや?」
昨日の話?
泣いた方がおかしい…
あたしはあなたの名前しか知らないし、あなたもあたしを知らない
「あたしはあなたの名前しか知らないのに泣けない」
あたしが彼を見ると彼は笑っていた
悲しそうに…
「俺が居らんなってみんな泣いてくれた…。俺はそれで成仏するはずやった」
あたしは黙って彼の話を聞いた
「なのに…アンタは泣くどころか適当にやることやって帰った」
仕方ないじゃない…
泣くような思い出がないんだもの
「それで?あなたは何をしに戻って来たの?」
あたしは冷たく言った
もう怖くない
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