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ありすは森に入った。森は大きく、花はあたしの身長の二倍はあった。
「あら、ごきげんよう。あなた人間でしょーう?何故そんなに小さーいの?」
声の主を探した。
「やだー上よ、上。」
古びた木の切株に、足のたくさんあるいも虫がいた。何十もの足は、様々な靴をはいている。顔はオッサンだった。
「あなた…女?」
「当たり前じゃなーい!あたしのどこが男に見えるのよーぅ」
すね毛、髭のうっすらと見えるかんじ。とは言えずに、スルーした。
「それよりあなたー!かわいい靴をはいてるじゃなーい!あたしの靴と交換しましょうよ」
いも虫を見ると、かわいい靴もあり、それを承諾した。
「あたしのお気に入り以外にしてよねー」
いも虫がうるさい。動くので靴がよく見れない。
「じゃあこれ!」
「だーめ、それはお気に入りなの」
「うー…これ!」
「だーめ、それもお気に入りよ」
「えぇ!?じゃあこれ!これがいい!」
「だめだめーぇ!それもお気に入りなのよぅ」
どれも駄目なので聞いてみた。
「どれはOKなわけ!?」
「やぁねえ。あたしが気に入らない靴をはくわけないじゃなーい!」
いも虫はニヤリとした。
すると急に辺りが暗くなった。
「やだっ!大変だわ!」
いも虫は焦っている。
なんと鳥が舞い降り、いも虫の丸い胴体を掴み、飛びたつ。
「ちょっとあんた、見てないで助けなさいよ!」
あたしはいも虫に手を振ってあげた。いも虫の靴が、バラバラと降ってきた。あたしはひとつ、靴を選んではいた。
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