靴屋

2/2
前へ
/24ページ
次へ
  ありすは森に入った。森は大きく、花はあたしの身長の二倍はあった。   「あら、ごきげんよう。あなた人間でしょーう?何故そんなに小さーいの?」   声の主を探した。   「やだー上よ、上。」   古びた木の切株に、足のたくさんあるいも虫がいた。何十もの足は、様々な靴をはいている。顔はオッサンだった。   「あなた…女?」   「当たり前じゃなーい!あたしのどこが男に見えるのよーぅ」   すね毛、髭のうっすらと見えるかんじ。とは言えずに、スルーした。   「それよりあなたー!かわいい靴をはいてるじゃなーい!あたしの靴と交換しましょうよ」   いも虫を見ると、かわいい靴もあり、それを承諾した。   「あたしのお気に入り以外にしてよねー」   いも虫がうるさい。動くので靴がよく見れない。   「じゃあこれ!」   「だーめ、それはお気に入りなの」   「うー…これ!」   「だーめ、それもお気に入りよ」   「えぇ!?じゃあこれ!これがいい!」   「だめだめーぇ!それもお気に入りなのよぅ」   どれも駄目なので聞いてみた。   「どれはOKなわけ!?」   「やぁねえ。あたしが気に入らない靴をはくわけないじゃなーい!」   いも虫はニヤリとした。   すると急に辺りが暗くなった。   「やだっ!大変だわ!」   いも虫は焦っている。   なんと鳥が舞い降り、いも虫の丸い胴体を掴み、飛びたつ。   「ちょっとあんた、見てないで助けなさいよ!」   あたしはいも虫に手を振ってあげた。いも虫の靴が、バラバラと降ってきた。あたしはひとつ、靴を選んではいた。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

56人が本棚に入れています
本棚に追加