海老とハゲタカ

2/2
前へ
/24ページ
次へ
  ありすが出ていくと、広い空き地があり、真ん中に大きな岩があった。岩の上には甘エビの寿司と、焼き鳥があった。   ありすは、食べたいけど大きくなったり小さくなったりするのはごめんだ。と思い、戸惑っていた。   「おいお前、俺たちを食べようか考えてるんだろう」   寿司が喋った。   「言っとくけど、俺たち本当は海老とハゲタカだったんだぜ。」   焼き鳥が喋った。   「だけどなあ、俺たちは考えたんだ。どうせ腐ってしまうのなら、誰かに美味しく食べてもらおうって。」   ありすには見えた。かつて海老とハゲタカだった二人が、肩を組んで、笑い合う姿が…。んなわけない。   海老だった寿司は言った。   「俺はワサビ抜きだ。その冷蔵庫から、ワサビを取って、つけて食べてくれ」   ハゲタカだった焼き鳥は言った。   「俺はもう冷めてしまった。その電子レンジで温めて食べてくれ」   いつの間にか冷蔵庫と電子レンジがあった。ありすは二人の望みを叶えてあげることにした。   冷蔵庫を開けると、ワサビがあった。しかしありすはワサビが食べれない。寿司にバレないように、マヨネーズをつけて食べた。   電子レンジを開けると、中には蛙の姿焼きがあった。ありすは気持ち悪くなったので、冷たい焼き鳥を食べた。   変化はなかった。   きっと海老とハゲタカは美味しく食され、幸せだっただろう。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

56人が本棚に入れています
本棚に追加