71人が本棚に入れています
本棚に追加
メイは唇をかんだ。
眉間に皺をよせ、歩みを止める。
後ろにいた少年がメイにぶつかり、その隙に模試の成績表を覗き見。
「お!メイちゃんまた1位!」
「ウルサイ!」
メイは振り向きざまに、その少年をひじうち、見事命中、少年涙目。
「お前ら、席戻れ。」
中年の先生は、二人を軽く注意すると、また、模試の成績表を配りはじめる。
メイは席についた。
同じ教室の中なのに、先生が生徒を呼ぶ声が遠く聞こえる。
メイはまだ成績表を睨んでいた。
紙のはしは、すでに握り潰されている。
うららかな午後のホームルームの時間、メイは怒り狂っていた。
(・・・また、また、・・・また、負けた・・・!)
わなわなと震えだすメイ。
ちょうどチャイムが鳴り、今日の授業はこれで終りだ。
「さよーならー。」
メイは帰りの挨拶もそこそこに、模試の成績表を鞄に投げ込むと、ノシノシと教室を出ていった。
その様子を観察していた少女に、先ほど肘鉄をくらった少年が話しかける。
「メイ、機嫌悪くね?」
「ん~、たぶん~、また2位だったんじゃない?」
「は?俺見たら1位だったって。」
「校内1位。でも県内では2位なんだって。」
最初のコメントを投稿しよう!