恋愛のみずみずしさが届きますように

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メイは唇をかんだ。 眉間に皺をよせ、歩みを止める。 後ろにいた少年がメイにぶつかり、その隙に模試の成績表を覗き見。 「お!メイちゃんまた1位!」 「ウルサイ!」 メイは振り向きざまに、その少年をひじうち、見事命中、少年涙目。 「お前ら、席戻れ。」 中年の先生は、二人を軽く注意すると、また、模試の成績表を配りはじめる。 メイは席についた。 同じ教室の中なのに、先生が生徒を呼ぶ声が遠く聞こえる。 メイはまだ成績表を睨んでいた。 紙のはしは、すでに握り潰されている。 うららかな午後のホームルームの時間、メイは怒り狂っていた。 (・・・また、また、・・・また、負けた・・・!) わなわなと震えだすメイ。 ちょうどチャイムが鳴り、今日の授業はこれで終りだ。 「さよーならー。」 メイは帰りの挨拶もそこそこに、模試の成績表を鞄に投げ込むと、ノシノシと教室を出ていった。 その様子を観察していた少女に、先ほど肘鉄をくらった少年が話しかける。 「メイ、機嫌悪くね?」 「ん~、たぶん~、また2位だったんじゃない?」 「は?俺見たら1位だったって。」 「校内1位。でも県内では2位なんだって。」
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