耳から伝わる幸せを

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  「じゃあ、一回聞いてみろって」   いつもは何事にも興味のない冬が、こんなに食い下がるのは珍しい。   私は少し考えてから、頷いた。   「ほら」   冬がイヤホンを私の耳にはめるために、身を乗り出した。     瞬間、顔が近づく。     そんなことには全く気付いてないのか、冬はいつもの無表情だ。   対して、私は顔の筋肉がうまく動かせない。   「いいだろ?」   「え?‥うん」   曲なんて全く聞いてなかったが、とりあえず頷いておいた。   冬が満足そうに笑う。      
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