白い窓

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  何人かの子どもが、遊んでいる。   パジャマを着たあの子たちも、この病院に入院しているのだろうか。   俺が住み着いているこの病室は、病院の下にある公園を一望できるほど、窓が大きい。   それだけが、この暗い部屋のいいところだ。   外の子どもたちは、どうやら、鬼ごっこをしているらしい。   そういえば、昔は鬼ごっこをするのが夢だった。   今となっては、なんでわざわざ疲れることをするのかわからなかったが。   黄色いパジャマが青いパジャマを追い掛けるのを何気なく眺めながら、俺は欠伸をかみころした。   「あれ?」   公園の入り口のほうに視線を向けると、長い黒髪が見えた。   一目でわかる。   「美帆?」    
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