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「ご苦労様」
部屋に入ってくるなりの労いの言葉に、美帆はやっぱりと笑った。
「見てるんじゃないかと思ってたんだ」
「ふぅん。で、見舞い品は?」
「ないよ。そんな物」
言いながら、美帆は鞄からポッキーを取り出した。
「あるじゃねぇか」
「これは、お土産」
「ふぅん」
適当に返事をして、ポッキーを受けとる。
「林檎もあるけど。食べる?」
俺は、こくんと頷いた。
「ナイフ借りるよ」
「どうぞ」
言いながら、俺はポッキーを開けた。
美帆が引き出しを探る音だけが、狭い病室に響く。
しばらくして、ゴソゴソという音が止んだ。
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