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「ついに俺達は光速を超えてしまったか…」
「そんな訳ないじゃんお兄ちゃん…」
そんなやり取りしかできないぐらい訳が分からなかった。そのため、しばらくの間呆然とその場に立ち尽くしていた。すると、
「…お兄ちゃん、もしかしてコレって」
千はそう言うとこちらを向いた。今考えられる最高の答えが見つかったのだろう、不安そうにこちらを見ている。それはそうだろう。つまりコレは、
「ああ、やられたな圭さんに」
俺はそう言うとポケットからケータイを取り出し事の真相を確かめるべく圭さんに電話をしようとしたが、
「あぁー!!」
と言う声に阻まれてしまった。
「お兄ちゃんまたケータイ学校に持ってきてる!!ダメだよ、校則では禁止されてるんだから」
正しい事を千が言っているので反論し難いが今回だけでも見逃してもらわなくては、
「でもホラ、今回は俺がケータイを持ってるおかげで圭さんに事の真相が聞けるかもしれないんだから。今回は見逃して!!」
千は「うぅ~ん」とうなった後、今回だけだからね、といって俺の方を見る。よほど早く真相を知りたいらしい。
「よし、んじゃーまぁー掛けてみますか」
そう言いながら俺は圭さんのケータイに電話をする。10秒ほどすると電話の向こうから声が聞こえ始めた。
「はいはい、どうしたのかな久志君。何か忘れ物??」
電話の向こうからはそんなのんきそうな声。俺はこの声を聞いて確信した。…この人の仕業だ、と。
「圭さん」
「ん?」
「楽しいですか?」
「うん、とても」
そう言って圭さんは少し笑った。犯人は分かったがいつ圭さんがあんな仕掛けを、と考えていると圭さんが、
「ん?もしかしていつ時計に細工したか考えてる?教えてほしい??」
と聞いてきた。俺は、「もちろん聞きたいです」と即答した。
「言ったでしょ?君達をびっくりさせようと思ったって。家に連絡を入れなかった理由がここまで言えば分かるでしょ?ビックリした?」
「…ええそりゃ」
「ああ、あともう一つ、びっくりしてもらおうかな~」
そお言うと、圭さんは予想外な事を口にした。
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