2人の蒼き天才

28/33
4700人が本棚に入れています
本棚に追加
/417ページ
「さすがに強いな。まぁ……実力的には琴袮や魁にもすでに抜かれてる俺じゃあ、当然の結果だよな」 「……」 洋平の言葉に銀はなにも返さなかった。 「……銀。俺は最後の相手がお前でよかったよ。それと……帝国側の俺が言うべきじゃないが……勝てよ。必ず」 「……ああ」 銀は刀を引き抜き、洋平にとどめをさした。 「俺は……俺たちは負けない。ただ、お前と一緒に戦いたかったよ。洋平」 銀は刀を納め、倒れている洋平の近くに座った。 「…………紫はこれから戦うのか」 「ここまでくれば大丈夫だよね」 紫はそう言って振り向いた。そこには連合国のNo.4である学園長がいた。 「ようやっとか……ここまで移動する間に向こうは終わったようだぞ?」 「関係はないでしょう?」 「そうじゃが……やはりあの男は負けたようじゃの。迷いがあったから当然の結果か……」 「それも関係ない。銀はあの人に特別な思いがあったかもしれないけど、私にはないからね」 「銀に似てクールなやつじゃの」 「それは私があなたを敵と判断してるから」 2人はお互いに戦いを始める様子はない。それは2人とも目の前にいる者に負けるわけがないと考えているからだ。
/417ページ

最初のコメントを投稿しよう!