聖天魔術学園

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入学式の後、生徒たちはそれぞれの教室に移動し、ほとんどの者が誰かと話している。 そんな中で銀はただ1人、誰かと話をすることもなく一番後ろの端の席で外を眺めていた。新入生の中に今の銀と話をするほど仲の良い者がいないため、仕方のないことなのかも知れないが。また、聖天魔術学園高等部1学年においては7割以上が中等部から来た者の集まりであることも理由の一つになるだろう。 「お前たち、席に着け!」 騒がしくなっている教室に1人の男性が入ってきた。男性の言葉に従い、全員が席に着いたのを確認すると口を開いた。 「まずは俺が誰なのかだが、俺はお前らの担任の竜野 洋平(タキノ ヨウヘイ)だ。そして属性は火と風。ギルドランクはSSだ。とりあえず、今日は自己紹介とチームを決めたら帰っていいからな。じゃあ、俺が今したような感じで自己紹介をしてくれ」 洋平がそう言ったが、誰も自己紹介をする様子は見られなかった。ほとんどの者が知り合いであるため、今更といった感じなのだろう。 「なんだ、誰もやらないのか?こういうのは自主的にやるものだぞ……仕方ない。じゃあ、特待生の5人からやってくれ」 そのとき教室がざわつき始めた。それは特待生が5人いるという発言が理由である。例年、特待生は1年に1人か2人であるため、5人もいることに驚きを隠せないのだろう。そして誰が特待生なのかを話し始めた。
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