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適当な石を、俺がいるのとは反対側に勢いよく放る。
がさっ、という植木の揺れる音に、風に俺の声を乗せて流す。
やべ。とか、適当に餌になりそうなやつを。
で、それにつられて向こうに意識が向いた内に――俺は逆方向に駆け出した。
足はしっかりと魔力で強化されていて、トップアスリート並な速度が出ている。
魔法を出来るだけ使わない作戦を立てたつもりだけどさ、地味に使ってる気がするんだけど。
これってどうだろう?
『とりあえず、第一関門突破だな』
「だな。
出来れば鞄をとりに戻りたいけど――」
考えるまでもなくそれは無理だろう。
むしろ既に皇にぃの手の中にあるか、俺が取りに戻るのを監視している可能性も否定できない。
「どうせ必要なものなんてねぇから、いっか」
良く良く考えれば、どうせ家に持って返ったところで予習なんてしないんだから必要ない……よな。
予習の必要なのは魔法関係の授業だけだけど、明日はないはずだし。
最悪、深元から借りりゃいいし。
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