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引きずられている最中に始業のチャイムが鳴ったが、日向さんは俺を解放してくれるつもりはないらしい。
昨日から災難続きだよ、マジで。
「兄上様、日向です」
無駄に立派な扉の前で日向さんが言うと、静かに扉が開いた。そして無駄に広い部屋の奥には、やっぱり無駄に豪奢な机がひとつ。
「わざわざ済まない、日向……」
理事長はどこか京さんに似た顔に笑みを作り、椅子が倒れるのも無視して立ち上がった。
ガシャンって音が、毎度の事ながらやけに響く。
「凌くんまで来るとは思わなかった」
ごめん、やっぱり俺、逃げていい?
俺、この人苦手を通りこして嫌いかも知んない。
「途中で拾いましたの。
それより兄上様、高さんに許可を取らなくてもよろしいんですの?」
いや、そこでどうして、オヤジの名前が出てくるよ?
俺の一挙一動まで、オヤジの許可がいるとでも言いたいのかよ。
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