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俺の怒鳴り声に、ソレはきょとんとした表情をうかべ、じいと俺に顔を近付けた。
目は細められ、その眉間には皺が寄っている。
『そう言われりゃ、高と魔力の形がちぃとばかし違うな。顔も記憶より女顔な気もするし……。
高じゃねぇってんなら、お前は誰だ?』
「俺は凌、高本凌だっ!
さっきからテメェが言ってる、高本高の息子だよ!」
ソレに大声で怒鳴ってやると、ソレは迷惑そうに顔をしかめた。
自分からオヤジの息子だって、自己申告したの久しぶりだな。そういや。
あのオヤジの息子だって、言わなくったって大抵のやつは知ってるし、知らないやつに自分から名乗るつもりもねぇし。
「シキ、あれから二十年以上過ぎている。
お前が抱えた魔力が放出するのを恐れて完全に封印したが、御堂の元宗主が亡くなったのを良い機会だと機関は考えた。
それで高に一任し――高の息子、凌の所有物となった」
いや、俺はコレを受け取るって認めてない。
それに、“あれから”って何から?
それに御堂の元宗主って誰だよ?
御堂なんて魔法家、今は存在しねぇし。
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