1.魔道書使い、誕生?

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     光の円の中には、魔道書に描かれていたのに少しだけ似た、わけのわからない図が描かれていた。     『かの者の傷を癒せ』      そして言葉を唱えると、その光は岩淵に吸い込まれて消える。  油汗を浮かべ、苦しそうにしていた岩淵の表情が少しだけ和らいだように思えた。      魔力を傷の場所に集めて、治癒能力を活性化させたのか。      何が起こったのかくらい俺でもわかる。  基本的な魔法の知識だけは、習わされたから覚えてるんだ。    その時は、全く魔法が使えないとは思ってもみなかったからな。  俺もオヤジも。  それとも、俺が魔道書を受け取ることを知って……の訳はねぇか。     『おい、あっちで誰かが魔法を使ってる。  行くぞ』     「ああ」      岩淵の様子も気になるが、それ以上にほかのやつらも気になる。  原因がまだ暴れまわっているなら――。    最悪の可能性を考えないようにして、俺は前を向く。  風が俺を包み、再び魔法で移動する。  
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