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時折壁にもたれかかっているやつらを見かけたが、そいつらで気を失ってるようなやつはいなかった。
不幸中の幸い、ってやつだろう。
「――っ!」
怒鳴るような声がして、それに爆音が続く。
誰かが戦っている。そう思わずはいられないような音。
その音は――近い。
第一魔法実習室、音はそこから響いていた。
『何が起こってても、俺を絶対に手放すなよ』
ドアに手を伸ばした俺に、シキが言う。
俺はそれに頷き、ゆっくりとドアを開いた。
*
教室の中には、ふたりいた。
ひとりは学校の制服を着た――深元透と名乗った転校生。
もうひとりは、見覚えのない男。
ふたりの間には、魔力の渦が見えた。
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