1.魔道書使い、誕生?

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    『あと一撃、それで終わるな』      何かを予言するようにシキが呟き、俺は慌てて目の前の光景に意識を戻す。  転校生は男を睨みつけ、視界いっぱいに氷の錐を作り出した。     「其を包みて  絶対零度の檻となせ」      氷は男を取り囲み、別の氷との間に蔦を伸ばすように腕を伸ばす。  氷と氷が繋がり、男を完全に包み込んだ。      少なくとも俺にはそう思えた。      けれど男がにやりと余裕の笑みを浮かべ、ポケットからライターを取り出した。     「焔の民よ  冷たき者を喰らい尽くせ」      ライターから身長の何倍のある火が立ち上がり――それが消えた時には、氷はどこにも残っていなかった。     「だから言ったろ?  弱者を強者が守るのは愚かなことだってな。弱者は踏みにじるものなんだよ」      男は足元に転がっていた、誰かの忘れ物だと思うシャーペンを踏みつけた。  それはあっけなく壊れ、小さな破壊音が響いた。     『そりゃあ違うな。あまり弱者を見くびってると、そのうち寝首をかかれるぞ。  それに、少なくともそれはテメェより強ぇし』  
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