2121人が本棚に入れています
本棚に追加
言ったのは、シキだった。馬鹿にしたような口調で、それも吐き捨てるように。
ちょっと待てって。
俺は確かにクラスメイトを守れる力を求めたけど、こんな変態と戦うための力を求めたわけじゃねぇんだけど。
つーか、むしろお前が戦いたいんじゃねぇのか?
「魔道書――お前が高本のガキか」
ちょうどいい、探す手間が省けたな。
男は俺の抱く魔道書に気付いて笑う。
じゃあ、何か?
この男は俺を探して来たってことなのか?
「それで岩淵のやつ――」
邪魔だとかでなく、素直に言えばよかっただろ。
あの馬鹿野郎は後でど突くことにして、今はこの男をなんとかすることを考えねぇと。
オヤジの私兵のひとりを倒したつーことは、へたな手は通用しねぇだろう。
「高本のガキ、俺と一緒に来ねぇか?
グラビティの血族であるお前が、こんなところでくすぶってるのは勿体ねぇよ。俺らと一緒に、世界の創造主となろう」
男はそう言って、俺の方へと近付いてくる。
それから俺に手を伸ばし――。
最初のコメントを投稿しよう!