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『いつの時代にも、馬鹿はいるんだな。
くっだらねぇ』
その手はシキの作った炎で、阻まれた。
突然のことで炎を打ち消す魔法が間に合わなかったのか、男は焼けただれた手を抱えて後退る。
『そういう馬鹿なマネを考えるんだ、御堂の事件を知らねぇわけじゃねぇよな?
あんときゃ、俺も甘かったんだ。素直に皆殺しにしときゃあ、こういう馬鹿が現れなかっただろうによぉ』
シキは狂ったような笑いをあげ、炎の塊と氷の塊を作り出した。
何をする気だ?
俺がシキに問うより先に、男は舌打ちをして窓から飛び出した。
窓の割れる音に、外から悲鳴が続く。
もうあの男が戻ってこないと思ったのか、炎と氷の塊は霧散した。
とりあえずは、これで大丈夫だろう。
たぶん、今すぐには戻ってこないだろうし。
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