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ため息を吐いて、教室の隅でうずくまる転校生に近づく。苦しそうに肩で息をする彼女に手を伸ばす。
『凌、そいつに触れろ』
癒しの魔法をかけるよう言おうと思ったのだが、ほかに良い手があるらしい。
言われるままに彼女に触れると、悪寒のようなものが身体を走る。
魔道書から、彼女に触れている手まで――妙な流れが走った。
何をしたよ? シキ?
『何があった? 話せ』
無情にもシキはいい捨てた。
「シキ! 具合の悪いやつに何をさせる気だ!
休ませてからでも問題ねぇだろ?」
「……いや、魔力を使いすぎただけだ。
わけてもらったから、動ける。問題ない」
彼女は身体を起こすと、何度か深呼吸を繰り返す。
どこか悪いところがないか探すように、身体を伸ばした後――腹部、それから顔に手をあてて魔法を使う。
そういや、さっき血を吐いてたんだよな。
「それで何が起こったのかだが――」
彼女が話そうとした時だった。強い風と一緒に誰かが飛び込んできた。
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