2121人が本棚に入れています
本棚に追加
それは慌てた皇にぃで、俺の姿をみるなり床に崩れ落ちた。皇にぃのこの辺は、理事長譲りなんだよなぁ。
「凌は父さんのところにいるって聞いてたから安心してたのに、さっき父さんから実習棟に向かったって聞いて!
それに魔道書と契約したとかっていうし!」
確かに心配する要素しかねぇよな。
俺も逆の立場なら、絶対に心配する。
「無事でよかったぁ」
さめざめと涙を流す“フリ”をする皇にぃ。
心配してくれたのは確かだと思うけど、こういう妙に芝居かかったところが嘘にしか思わせないんだよ。
「奈月家の皇さまですね。
私は監視と護衛のため、長官から派遣された者」
「……ああ、高おじさんから聞いてる。
そうか、君か」
ころりと表情をかえると、すっと立ち上がって真剣な表情を浮かべる。
俺に見せるのとは一八〇度違う、会長サマの顔だ。
いつもコレなら、無条件で自慢出来るんだけどなぁ。
最初のコメントを投稿しよう!