1.魔道書使い、誕生?

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     それは慌てた皇にぃで、俺の姿をみるなり床に崩れ落ちた。皇にぃのこの辺は、理事長譲りなんだよなぁ。     「凌は父さんのところにいるって聞いてたから安心してたのに、さっき父さんから実習棟に向かったって聞いて!  それに魔道書と契約したとかっていうし!」      確かに心配する要素しかねぇよな。  俺も逆の立場なら、絶対に心配する。     「無事でよかったぁ」      さめざめと涙を流す“フリ”をする皇にぃ。  心配してくれたのは確かだと思うけど、こういう妙に芝居かかったところが嘘にしか思わせないんだよ。     「奈月家の皇さまですね。  私は監視と護衛のため、長官から派遣された者」     「……ああ、高おじさんから聞いてる。  そうか、君か」      ころりと表情をかえると、すっと立ち上がって真剣な表情を浮かべる。  俺に見せるのとは一八〇度違う、会長サマの顔だ。    いつもコレなら、無条件で自慢出来るんだけどなぁ。  
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