2.魔道書使い、奮闘?

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    「待ってたよ、授業が終わってからずっと。  だけどなかなか来ないから、探しに来たんじゃないか」      下がる俺を笑顔の皇にぃが一歩、また一歩と追い詰めてくれる。      確かに教室でふてくされていた俺が悪いのかも知れない。  生徒会室に行かなかったことで心配をかけたのかも知れない。      だけど!  なんでここまで心配されなきゃならねぇんだよ!  俺はか弱い乙女じゃねぇ、13歳とはいえ、立派な男だ!     『おい、お前が望むなら俺は力を貸すと言っているだろ?』      この状況を楽しんでいるかのような声は、俺が抱く本から聞こえてきた。  いつの間にか姿は見えなくなっているが、間違いなくこの本から声がする。     『俺さえ使えば、あのニイちゃんと互角なやりとりが出来るかもな』      それはまるで悪魔の囁きのように、俺の耳に入ってきていた。      皇にぃと互角なやりとり。      それだけで凄く魅力的だが、この場合はそれ以上に――、     「ごめん、皇にぃ」      小さな声で謝ると、窓の縁に腰をかける。そしてそのまま、体重を後ろにかけた。     「凌っ!?」      慌てふためく皇にぃの声を聞きながら、俺は胸に抱いた本に静かに声をかける。  なぜだか、俺は恐ろしいくらい冷静だった。      魔法の使えない俺が、教室の窓から落ちたんだ。  普通なら、焦る。     「シキ、俺に力を貸せ」      だけどこの魔道書があるからか、平気だった。     『ああ、俺の力のすべてはお前のものだ。凌』      渦を巻く風に身体を預けて、遠くなる皇にぃの声に目を閉じた。  
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