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「西から近付いてくる人の数は?」
『ざっと数えて、三十。うち半分が魔法使い。
いい加減、逃げるのも面倒になってきたな』
「だからって、下手な手を使うわけにもいかねぇし」
応えて、俺は建物の影から俺を探すやつらの姿を伺った。
胴着を着ているところをみると、柔道部か空手部の類なんだろう。
この学校は意外と部活動に力を入れている。
なんでも、豊かな想像力を育てるためだと言うが、大会にも出れない部活動に何の意味があるのか……いつも俺は疑問に思う。
一般的な大会は、魔力が無いことが参加条件になっている場合が多い。
少しでも魔力を持つ者の場合、精神を集中することで無意識的に身体中に魔力を巡らせてしまう。
そしてその魔力は、身体能力を強化させる。
だから本人にその気がなくても、集中すればするほど、普通ではあり得ない力を使ってしまうことになる。
もっとも、魔法を封じる手段がないわけじゃない。
だけど完全に封じてしまうと、ある程度以上の魔法使いはまっすぐに立つことも出来なくなるという。
頭を振り回されているような、強烈なめまいに襲われたような、そんな感じらしい。
まあ、魔法使いとも呼べないような魔力しか持たないやつの場合は、封じたところで変わりがなかったりするらしいが。
どっちにしろ、俺とは無縁な話。
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