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っと、いらんことを考えてる場合じゃない。
胴着を着たやつらが別の方へ歩いていくのを見送って、ひとつ大きな溜息を吐いた。
そもそも、なんで俺、逃げてるんだろ?
俺が逃げてるのは皇にぃからだけのはずで、学校中のやつから逃げる必要なんてなかったはずだ。
う~ん。
別の方向から人が近付いてくるのを感じて、俺は姿勢を低くする。
「いた?」
「ううん、いないよぉ。
2年のおチビちゃん、会長に手配をかけられるなんて、何をしたんだろうね」
「さあ? あたしたちには関係ないもの、興味ないわ。
それより、さっさと捕まえて臨時部費をもらいましょ」
原因はそれかっ!
謎はすべて解けたっ!
つーか、俺をチビって呼ぶなっ!
皇にぃ、何俺に臨時部費なんてもんをかけてくれてるんだよ!
『さすがは朔夜の息子――いや、おじさんの孫だな。
面白きゃなんでもいいってのは、お前ら一族の特徴だ。諦めろ』
「うわぁ、ひでぇ。
今は俺がお前の持ち主なんだからよ、もうす少しいたわりの言葉をかけようって気にならねぇのか?」
『無理だな。
俺の人格の元になってるのは、お前の父親だしな』
文句を言う俺に、それは言ってくれた。
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