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『なら、このまま裏門から脱出だな』
シキは言い、大きく呼吸をする。
いや、だから、人間じゃないのにそこまでやるってどうするよ。なあ。
『裏門まで、俺の邪魔になりそうな魔法使いはいない』
「なら、このまま突破する」
左右を確認して、俺は小さく深呼吸して地面を蹴った。
「あ!」
誰かが俺に気付いて声をあげるけど、誰が立ちどまるかっ。
「待てっ!」
待てと言われて待つヤツがいたら、俺が逆に知りたい。
そんな間抜けなやつは、指をさして笑ってやろうじゃないか。
はっはっは。って。
「凌、ストップ」
だけど俺は聞き覚えのある声に、思わず足を止めてしまった。
俺よ、どうしてそこで足を止める。
待てと言われて待つヤツなんていないんじゃなかったっけ?
指をさして笑ってやるんじゃなかったっけ?
あ、でもこれは待てじゃなくてストップ……。
っあぁぁぁっ! どっちも一緒だっ!
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