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足を止めて立ちどまった俺を、じりじりと顔も知らない生徒たちがゆっくりと取り囲む。
その向う側に、見慣れた姿もあった。その笑顔がもの凄く怖い。
「シキっ!
邪魔になりそうな魔法使いはいないんじゃなかったのかよっ!」
俺は少し重心を下し、こいつらなら少しくらい蹴っても大丈夫だろうと、腹をくくってみる。
手の方が加減はできるんだけど魔道書を抱いてるし、自業自得つーことで勘弁してもらう。
『言ったな。
“俺の邪魔になりそうなやつ”はいねぇって』
…………はぁ?
それってつまり、皇にぃなんて余裕でヤれるっつーことかよ?
「ふざけんな。
皇にぃはオヤジ以来の天才って呼ばれるような、天才なんだよ。テメェがどんだけ自信があんのか知らねぇけど、無理に決まってんだろ」
俺ができるだけ怒りを抑えた声で言うと、楽しそうな笑い声が聞こえた。魔道書と、人垣の向うからだ。
皇にぃ、俺が褒めたのがそんなに嬉しいのかよ。
『高の、ねぇ。
それなら尚更楽しみだな』
……もしかしなくても、俺、余計に油注いじまった?
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