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ぴし。
そんな音がしたかと思うと、水の塊は凍っていた。
それも竜の形をして。
さすが水の性を持つといわれる奈月の跡取り。
そんな感嘆の声に混じって、俺をほめてるらしい声が聞こえた。
つーか、
「オヤジの名前を出して褒めるんじゃねぇ!」
誰だ、さすが長官の息子って褒めたやつ!
この学校にいるやつが、俺が魔法を使えないって知らないわけがねぇだろ。
ってことは、嫌味か?
それとも俺がわざと魔法を使えない振りをしてたとでも思ってるのかっ!?
どっちにしろ、冗談じゃねぇ!
俺が下を向き、そいつを探そうとした時だった。
「ぷっ、くくくく……」
笑いを堪えるような、声がした。
ものすごぉく、マジで、冗談抜きで、聞きたくなかった声だ。
恐る恐る振り返ると、そこにはこの国一多忙らしい男がいた。
うわぁ、俺、逃げていいか?
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