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「皇くんもシキも、派手なだけで威力もほとんどない魔法なんか使って……」
そこまで言って、オヤジは女顔の上童顔な顔に手をあて首を傾げた。
40近い年のおっさんがやる仕草じゃねぇぞ。おい。
「ああ、凌のレベルに合わせてたのか。
いきなり強力な魔法が自分の目の前で使われたらびっくりするもんなぁ」
天変地異レベルの魔法が目の前で使われりゃ、慣れてても驚くと思うぞ。普通は。
だけどオヤジはそんな風には微塵も思っていないらしく、したり顔で何度も頷いてた。
「長官、歓談中申し訳ありませんが次の予定も迫っております」
そんなオヤジに進言してくれたのは、テレビなんかでもオヤジのいっつも側にいる男。確か秘書の高倉さんだ。
この人、息子の俺よりもオヤジと一緒にいるんじゃないかって気がする。
……いや、事実だろう。俺なんか、ひと月に一度会えりゃ良い方だし。
「せっかく息子と……、まあ、いいけどね。
凌、皇くん、ちょうどいいからふたりも話を聞くといい。ふたりとは無関係な話じゃないし」
聞きたくないって俺が言っても、拒否権なんてねぇんだろうな。
そう考えただけで大きな溜息が漏れて、身体の力が抜けた。
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