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「そういう訳だから、そこの無駄にでかいのは没収」
ぱちん。
オヤジの指が鳴ったかと思うと、宙に浮いたままだった皇にぃの氷の竜は音を立てて粉々になる。
慌てて下をみると、シキの土の塊もぼろぼろと崩れ落ちていた。
支配権を奪い取り、構成してる「思い」を理解して、それの逆の「思い」を込める。
いまさっき、授業で知識として習ったばかりの魔法を目の前でみることになるとは思わなかった。それもオヤジが使うのを見るなんて。
「長官、非常識な魔法をあまり簡単に使わないでいただけますか。
ここは奈月の管理下なので問題はないでしょうが、あまりやりすぎると普通の人々に恐れられます。その苦情を受け付けるのはわたくしです」
高倉さんは淡々とした調子で告げ、懐中時計を取り出して時間を確認する。
「次の予定まで、30分を切りました。
移動を考慮すると、10分もありません」
「酷い。久しぶりにハトコに直接あえて、ついでに息子とも会えたってのに。
次の予定、どうにかならないかな。例えば……別の日に回してもらうとか?」
「不可能です。
先方も忙しい方だということは、長官もご存じでしょう?」
言われ、オヤジはもの凄く悲しそうにその場にしゃがみ込んだ。でもって、宙にのの字を書いていじけてる。
なんか、その周りだけ空気も澱んでるように見えるし。
ああ、うぜえ。
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