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ぜってぇわざとなんだろうけど。
それがわかるだけ、余計にうざい。
その証拠に、コレがあの、高本高なのかと下で様子を見守ってるやつらが唖然としてる。
その気持ちはわからなくもない。
たまに顔出しちゃ馬鹿やっていく男が、世界中の魔法使いが一目置く高本高だと知った時には夢だと思ったし。ついでに父親だと知った時にゃ、俺は拾い子だと思いたかったくらいだ。
ひとつ溜息をついて、俺は口を開く。
「オヤジ、そうしてる間にもどんどん時間が過ぎるぞ」
母さんならこういう時のオヤジは放って置くか、一喝するかするんだろうな。あの人、外見に似合わず怖いとこあるし。
俺の言葉にオヤジは立ち上がると、よくわからん言葉を叫んで手を叩いた。
「え、え、え、ええええっ!?」
問答無用で俺たちを個々に包む風の繭が生まれる。
ちょっと待てっ!
時間がないのはわかるが、せめて常識の範囲内のことをしやがれ!
普通の魔法使いは一度に魔法をたくさん使うことはもちろん、呪文も唱えずにこんなことは出来ねぇんだよっ!
怒鳴ってやろうと思って口を開きかけて――その非常識なことを、皇にぃと魔道書がやってたなと気付いて、溜息をついた。
高倉さんも同じように溜息をついた姿がちょうど目に入って――俺はもうひとつ溜息をついた。
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