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「俺、行くわ」
行儀悪いとも思うが、こんな状況でおいしいご飯が食べられるわけもない。
豪華な食事に心の中で別れを告げて、俺は席を立つ。
京さんはひとつため息を吐くだけで、何も言ってこなかった。
結局のところ、京さんはオヤジと同じ顔の俺を可愛がってくれているだけで、優先するのはオヤジの方。
オヤジも母さんも仕事仕事、じーちゃんばーちゃんは第2の新婚を満喫するとかで居場所も不明。頼みの京さんのところにも俺に居場所はない。
ああっ、かわいそうな俺。
ヨワイ13にして、世間の荒波に揉まれる運命だったなんて。
「……サルか犬、その辺に落ってねぇかな」
外に出たとたん目に飛び込んできた空の青さに、思わず嘆いていたのは……俺のせいじゃない。はず。
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