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「カスミさん…でしたよね?」
「あ、はい。」
「私達の事、気持ち悪くないですか?」
「え?」
「いえ、時々いるんですよ。私達を毛嫌いされる人が。“人の形をした兵器”とか“動く屍”とも呼ばれる事もありまして。」
「…妹が ちょっと駄目みたい。」
「そうなんですか。」
「でも、私達を助けてくれたから嫌いようにも嫌えない。だって、貴女だって普通にしていれば、普通の女の子と同じだもん。」
カスミの言葉に、スノーリアはキョトンとした。
「あ、私 何か傷付く事でも言っちゃった!?」
「いいえ、逆です。そう言ってくれるなんて思わなくて、嬉しくて つい…。」
スノーリアは はにかんだ笑顔を見せた。
「あ、私の名前 言ってなかったですよね? 私はスノーリア・ベルウッド。所属はディドレット軍戦闘部陸軍第1部隊隊員。階級は少尉。よろしくお願いします。」
スノーリアは手を差し出した。
「よ、よろしく!」
カスミは迷わず、スノーリアの手を握り、握手を交わした。
その頃の基地。
戦闘後、活気のないフィロを心配してか、シェラがフィロの部屋を訪ねた。
コンコンと2回ノックをするが、返事はない。
「フィロ? 入るで。」
シェラはフィロの許可のないまま、入室した。
部屋は真っ暗で、上着は床に脱ぎ捨てたまま。
ケースに納まったナイフや、ホルターに入っている銃は、フィロが横たわっているベッドの周辺に散乱している。
「何?」
「大丈夫か? さっきから全然元気ないで?」
「別に。シェラには関係ないよ。」
シェラは腕組みをし、ベッドにドカリと座り、ナイフを手に取る。
「…なるほどな。」
シェラがナイフをホルターから出す。
刃には変色した血がこびりついていた。
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