運命ハ動キ出シタ

14/26
前へ
/705ページ
次へ
「カスミさん…でしたよね?」 「あ、はい。」 「私達の事、気持ち悪くないですか?」 「え?」 「いえ、時々いるんですよ。私達を毛嫌いされる人が。“人の形をした兵器”とか“動く屍”とも呼ばれる事もありまして。」 「…妹が ちょっと駄目みたい。」 「そうなんですか。」 「でも、私達を助けてくれたから嫌いようにも嫌えない。だって、貴女だって普通にしていれば、普通の女の子と同じだもん。」 カスミの言葉に、スノーリアはキョトンとした。 「あ、私 何か傷付く事でも言っちゃった!?」 「いいえ、逆です。そう言ってくれるなんて思わなくて、嬉しくて つい…。」 スノーリアは はにかんだ笑顔を見せた。 「あ、私の名前 言ってなかったですよね? 私はスノーリア・ベルウッド。所属はディドレット軍戦闘部陸軍第1部隊隊員。階級は少尉。よろしくお願いします。」 スノーリアは手を差し出した。 「よ、よろしく!」 カスミは迷わず、スノーリアの手を握り、握手を交わした。 その頃の基地。 戦闘後、活気のないフィロを心配してか、シェラがフィロの部屋を訪ねた。 コンコンと2回ノックをするが、返事はない。 「フィロ? 入るで。」   シェラはフィロの許可のないまま、入室した。 部屋は真っ暗で、上着は床に脱ぎ捨てたまま。 ケースに納まったナイフや、ホルターに入っている銃は、フィロが横たわっているベッドの周辺に散乱している。 「何?」 「大丈夫か? さっきから全然元気ないで?」 「別に。シェラには関係ないよ。」 シェラは腕組みをし、ベッドにドカリと座り、ナイフを手に取る。 「…なるほどな。」 シェラがナイフをホルターから出す。 刃には変色した血がこびりついていた。  
/705ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1089人が本棚に入れています
本棚に追加