運命ハ動キ出シタ

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曇天が続く空の下、フィロは空に向かう様に聳え立つ黒いタワーの前に立っていた。 生温い風がブラウンの髪を掠め、白い頬に吹き付ける。 フィロの瞳に映るのは、ただ一点のみ。   それは、タワーの天辺。 そこに、世界を再び悲しみや混乱、憎しみに陥れた者がいる。 フィロは目を閉じ、手を握り締め、足を一歩踏み出す。 その直後。 ビー!! ビー!! けたたましい警報音が鳴り響く。 それを聞いたのか、タワーから黒い無数の影が群がる蝿(ハエ)の様に飛び交い、こちらに向かって来る。 1つ1つの黒い影を見ると、ギョロリとした1つ目玉の巨大なカラスのようなものが、こちらに向かってくる。 フィロは静かに目を開く。 それと同時に、フィロの瞳が深紅に染まる。 直後、装備していたナイフを両手に握り、地面を蹴る。 目にも止まらぬ速さで、荒野を駆け抜ける。 ― もう、誰も犠牲になんかさせない!! 「ああああああああああ!!!」 フィロの雄叫びと共に、爆音が空に谺した。  
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