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「そうか…。あれから私達、そのまま…。」
「向かいの建物が突っ支えみたいな役割をして、完全な倒壊を防いでくれたみたいなんだ。」
「とりあえず、ずっとここにいるワケにはいかないから、今は避難シェルターに向かう事を考えなきゃ。」
「うん。」
カスミとルカは狭い穴を潜り、外を目指す。
「人一人通れる穴が開いただけでも幸いね。」
「…! 姉ちゃん!」
ルカが何かに気付く。
「な、何!?」
「しっ!」
ジッと耳を澄ませてみる。
ギャアアアアアアア…!
機械混じりの鳴き声。
先程の【戦獣】だ。
「まだいるみたいだ。」
その時だった。
ギシッ…!
ミシミシッ…!
何かが軋む音がする。
「何…!?」
「!! 崩れる!!」
カスミとルカは全力で外へと抜ける出口を目指す。
そして、外からの光が見えてきた。
「ルカ!!」
先に脱出したカスミが手を伸ばす、が。
「!! 姉ちゃん、後ろ!!」
「え?」
カスミの背後に、カラスの様な【戦獣】が降り立った。
巨大な一つ目玉にカスミの姿が映ると、ガパリと巨大な口を開く。
― 駄目だ…!!
絶対絶命と感じた、その時だった。
ゴキャッ!!!
鈍い音と共に、【戦獣】が横に吹っ飛ばされ、瓦礫へと叩き付けられた。
「!?」
「ルカ、今のうちに!!」
隙をついてルカを引っ張り出し、その場から逃げようとする、その刹那。
上空から別の【戦獣】が降り立った。
「!!」
【戦獣】の足の爪が2人に振り翳される。
爪が直前に迫った時だった。
ドンッ!!
ドンッ!!
2発の銃声が響き渡る。
【戦獣】の足からは2箇所、銃創が出来ており、そこから血の如く 黒い液体が流れ出ている。
「いい加減、僕達の仕事 増やすの、やめてくれない?」
先程 吹っ飛ばされた【戦獣】が叩き付けられ、発生した砂埃の中から誰かが歩いてくる。
その時 吹いた風により、砂埃が晴れ、【戦獣】を撃った者の姿を現す。
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