石の上にも三年

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私は幼い頃、あまり丈夫ではなかった。 幼稚園や学校と同じくらい、病院に通っていた。 治療が長引くと飽きてくる。 薬を飲み続けるのも嫌になってくる。 そんな時、母は私にこんな話をした。 「ひなちゃん、我慢するのは難しいよね。 大人だって簡単じゃないんだから、小さなひなちゃんには本当に難しいよね。 でもね、我慢してたら、きっと良くなるから。 昔の偉い人はこう言ったの」 母は私の両肩に手を置き、愛情籠った優しい目で見る。 「石の上にも三年、柿八年」 この間違いに私が気付くのは、ずっと後のこととなる。
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