【廃病院/頭脳戦】

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私は一旦、アメリーから視線を外し、尚美さんへとかえる。 一番疑問に思っていた事を、彼女に尋ねるためだ。 「あの、尚美さん。最初に私に連絡をくれた時は“どちら”の尚美さんだったの?」 尚美さんは、アメリーではなく、静かに自分自身を指差す。 そして文章を書き、私に見せてきた。 【あなたに交流したのは私。 ナイトメアにより、つくられた人格はゲームをしなくても支障はない。 だから代償は関係ない……そのはずだった。 ――だが、何故か私は違った。 代償がはじめから沢山失われていて、代償損失の部位が動かなかった。 私は物凄く焦った】 私は文を最後まで読むと、ゆっくりと口を開けた。 「……だから私にあんなメールをくれたのね」 私の問いに、尚美さんは気まずそうに深く頷く。
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