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私はどうすれば良いか、分からなくなってしまった。
今まで最善だと思っていた方法が、新たな悲しみを生むなんて思わなかったから……。
クリアを躊躇う心。
でもこのままじゃ前には進めないこと。
――それだけは分かっている。
クリアを目指さなければ犠牲は増え、この先仲間を失うことになるかもしれない……。
……私は唇をキュッと噛み締める。
――コンッ……
突如、この空間に響く軽い音。
尚美さんが、見えない壁を叩いてきたのだ。
私は尚美さんを見上げた。
彼女は優しく微笑み、自分のゲーム機を指差していた。
“帰ろう”きっとそう言いたいのであろう。
私は尚美さんを見つめたまま、ゆっくりと頷いた。
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