【廃病院/頭脳戦】

38/45
前へ
/389ページ
次へ
私はどうすれば良いか、分からなくなってしまった。 今まで最善だと思っていた方法が、新たな悲しみを生むなんて思わなかったから……。 クリアを躊躇う心。 でもこのままじゃ前には進めないこと。 ――それだけは分かっている。 クリアを目指さなければ犠牲は増え、この先仲間を失うことになるかもしれない……。 ……私は唇をキュッと噛み締める。 ――コンッ…… 突如、この空間に響く軽い音。 尚美さんが、見えない壁を叩いてきたのだ。 私は尚美さんを見上げた。 彼女は優しく微笑み、自分のゲーム機を指差していた。 “帰ろう”きっとそう言いたいのであろう。 私は尚美さんを見つめたまま、ゆっくりと頷いた。
/389ページ

最初のコメントを投稿しよう!

155416人が本棚に入れています
本棚に追加