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私は再び目を開けた。
見慣れた職場の室内が、私の目の前に広がっている。
(戻ってきたんだ)
そう思い私は、しばらく安堵感に浸る。
(そう言えば……尚美さんは?)
ふと尚美さんを確認してみた。
彼女も頭脳戦前と変わらず、側の席の椅子に腰かけていた。
そして何事もなかったように、ゲーム機を操作している。
「……くっそ!
太一、また負けやがって……。これで何回目だ!?」
突如、隣から杉浦さんのイライラ感が満ちた独り言?の様な物が聞こえてきた。
「え?太一さんがどうしたんですか?」
私は思わず尋ねる。
杉浦さんは、ゲーム画面を覗き込みながら面倒臭そうに答える。
「太一が頭脳戦に負けたんだよ。……おい、起きろ!」
杉浦さんは太一さんの頭を、容赦なくバシッと叩いた。
「……ひっ!?いたっ、いたた、痛いっすよ!もうっ!杉浦さん、何するんすか……」
太一さんは、驚いたように飛び起きた。
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