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「くふっ……。
よかったー!間に合った」
突如背後から、中谷さんらしき人の声がしたので、私は振り返る。
そこには不気味な程、にやけた顔の中谷さんが立っていた。
「なにが“くふっ”すっか!気味悪い。しかも何でアンタが乱入してくるんす!?おかげで僕が戦闘できないじゃないっすか!」
太一さんがイライラしながら、中谷さんを睨みつける。
「え?だって乱入してこいって聞こえたから……」
「アホか!!お前には言ってねえ。てか普通分かるだろ!?……空気よめ、空気」
今度は杉浦さんが、彼を怒鳴りつける。
「ヒイィィー!すみません、すみません!」
中谷さんは顔を青ざめながら、ひたすら謝る。
「で、では俺はこれで……。サムライ!行くぞ」
中谷さんは、サムライ(猫)を抱きかかえると、急いでこの場から逃げ去ろうとする。
「……おい、こら待て」
――が、案の定、杉浦さんに呼び止められた。
「ヒイーッッッ、な、なんでしょうか」
中谷さんは肩を大きくビクつかせた。
「乱入したからには、責任もって戦闘してけよ」
杉浦さんは低い声を出し、中谷さんを睨みつける。
「……いいな?」
杉浦さんの表情が、恐ろしく怖いのは言うまでもない。
「はっ、はいィィ!」
酷く裏返った中谷さんの返事が、職場内へ大きく響いた。
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