55人が本棚に入れています
本棚に追加
図書館前の廊下では、金山 零が借りたばかりの本を読みながら教室に向かっていた。
ふと顔を上げると2人の男子生徒がこっちに走ってくるのが見えた。
花菱 勝と大石 堅だ。
2人は近くまで来ると『よっ!』と声をかけてきた。
零はいつも冷静で頭もよく、整った顔をしている。
いわゆる完璧な美少年というやつだ。
ちなみに俺と堅とは小学校からの付き合いだ。
「どうした?」
零は俺達の方に歩きながら聞いた。
「お願いがあってさ。」
堅が真面目な顔で言う。
「何?」
「一緒にギルドに入って欲しいんだ。」
零は特に驚いた様子はない。
「本気で言ってるの?
‥‥勝も?」
零は俺に聞く。
「いや、俺は‥『勝もギルドに入るってさ。』
‥‥あれ?俺そんなこと言ったっけ!?
俺は否定しようとしたが堅に阻まれる。
「‥‥勝もやるんだったら俺もやるよ。」
「よっしゃ!決定~。
教室行って話し合いでもしますか!!」
‥‥零と堅は行ってしまった。
残された俺は妙な淋しさを感じた。
‥‥まぁいっか!
零もやるんだったら俺も頑張らなきゃな。
俺は気合いを入れてから歩き出した。
その時、目の隅に茶色いコートを着た男が学校の案内を見ているのが映った。
俺は思わず振り返った。
‥‥しかし、その男はもうどこにもいなかった。
俺は妙な違和感を感じながら教室に走った。
最初のコメントを投稿しよう!