場面④弥代

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僕が学校へいきたくないのには理由がある。 それはもちろんミヤとは違う。 ミヤはこのことに気づいていない。 僕の場合は―― ――ひとことで表せば、イジメ。 世間の不登校児の大抵の学校へいかない理由のひとつ。 ひとことで表せば簡単な、たかが『イジメ』だけど、それは、そう易々と簡単にあらわしてよいものじゃない。 それで苦しむ者はたくさんいるし、皆それぞれ事情は違う。 僕はまだ、深刻な方ではないと思うんだけど、世の中にはもっと苦しんでる同じ年のコがいるかもしれない。 でも、いじめる側もいろいろ苦しんでるのかもしれない。 中学校は小学校とはまったく違う環境。 団結するのは難しいし、かといって、学校生活を楽しむにはある程度団結は必要。 その団結するのに、ひとつ楽な方法がある。 それは、ひとつでも攻撃の的を作ること。 そのひとつを犠牲にすれば、何人かは団結でき、仲間を作れる。 人間所詮自分がかわいいもんだ。 いかに自分にとって、どれだけ少ない犠牲で仲間を得られるかなんだ。 いじめる側も、どれだけ自分が有利にたって、楽しい生活を送れるか、どれだけ自分の存在をアピールできるか、不安なんだって僕は考える。 また、いじめられる側も、自分に的になるだけの理由があるんだって、自分は犠牲でいいんだってことを、すごい思い知らされ、不安なんだって。 要するに、立場は違えど、みんな同じく不安なんだって――
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