第③章・小さな追跡者

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第③章・小さな追跡者

空を覆い尽くす程の葉が高くそびえ立つ木々から溢れるほど繁っている。 アトスはたまに葉の間から見え隠れする太陽を目印に、村から東に位置する王都への道を 数カ月に1度王都へ小麦を買いに行く村の者が通るだけなので、ろくに整備もされてない 歩き続けていた。 「……って…。」 「ん?今なんか聞こえたような……。」 「待って………待って…アト兄ちゃん待って!!」 「あ!ミー!」呼び止められて振り返ったアトスの目に映ったのはアトスよりも少し……とゆうより全然幼さの抜けてない少女であった。 ミーと呼ばれた少女は何度も躓きながらも、走ってアトスに追い付いた。 「なにしにきたのミー?」 「フィルじぃがこれ持ってきなだって^^」満面の笑みを浮かべたミーと呼ばれる少女から手渡されたのは、ナイフとしては大きく、剣としては小さすぎる刃物であった。 「これは……。」 「ゴシントウだって!」 「ゴシントウ…?なんかすごそうだね!」 漢字表記すれば護身刀。そう。剣を扱えない旅の商人などが、最低限に自分の身を守るために持つただ大きめのナイフである。だがアトスは見知らぬ言葉を聞き、何故かそれがすごく神秘的に思えてしまった。 「フィルじぃにありがとうって言っといて。」フィルじぃとは村最高齢の長老フィルスのことである。アトスが王都へ行くと聞き、もしもの時のために渡したようだ。 「ミーありがと。じゃあもう行くな。ミーも早く村に帰りなよ。」 「アト兄ちゃん!これも!」少女から渡されたのは、淡く光を反射する硝子の玉であった。 「これってミーの宝物じゃ…」 「いいの!早く帰ってきてそれミーに返してね!ばいばーい!」そう言い残すと少女は勢いよく先程来た方へ走り去っていった。 「あ…ミー…。」 ミーと呼ばれる少女の名前はミーナ。アトスとは歳が5つ離れているが、村に子供は2人だけだったので、毎日のように遊んでいて大の仲良しである。 「ま……いっか。」微かに笑みを浮かべたアトスは、ナイフを腰につけ、硝子の玉をポケットにしまってまた歩き始めた。     何度も森の生き物に出会ったが、たいした危険もなく森の終わりへと近づいていた。
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