プロローグ

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「失礼します。アーネ・シュトレナーゼただいま戻りました。」  アーネは少々焦りながらブリッジへと駆け込んだ。息を整えて辺りを見回すと既にオルテンシアの隊員が揃っており冷ややかな視線を浴びせてくる。その視線に苦笑いしながらアーネは彼等同様に艦長へと顔を向けた。 「揃ったな。アーネちょっと遅かったわね。気をつけなさい。」  艦長はにこやかにそう言って深呼吸をするとマイクのスイッチを入れた。 『モイラ艦長シルフィ・ラドクリフだ。これより本艦はディーバの襲撃を受けているコロニー"アルグネスト"へ向かう。まだ実戦経験も少ない者が多いが、我々は軍人だ。そのことを肝に命じておけ。我々は未熟お前達に頼ることしか出来ないことを許して欲しい……。願わくばクルー全員が生きて帰れることを切に願う。……命令だ、絶対に死ぬな。以上だ。第913部隊オルテンシア、戦艦モイラ出撃!!』  シルフィはマイク越しに艦内に呼びかけ、その言葉が終わるとクルーは全員敬礼をした。これから向かう戦場は恐らく悲惨なものだろうと彼等は予想している。シルフィは一度瞳を閉じて再び深呼吸をした。疑問をしまう様に深く深く息を吸い込み、長い時間をかけて吐き出すと彼女はパイロット達に向かい直した。 「いいか、ここからは実戦だ。今までやってきた模擬戦や単数ディーバの駆逐任務とは訳が違う。気を引き締めて行け。お前達パイロットに全てはかかっている……。皆、頼んだぞ!」  シルフィが敬礼をすると5人のパイロットは敬礼を返す。男2人と女3人という比率は他の軍でもあまり考えられないことだろうと思いながら手を下ろす。これから約2日後にアルグネストに到着する。出撃は4人になることが予測される。隊員の内1人は怪我をしている。 「解散!」  そんなことを考えながらシルフィの言葉にハッとして辺りを見るとアーネは既に遅れをとっていることにまた苦笑いした。隊員達の跡を追ってアーネもブリッジを出る。そんな若き戦士達を悲しそうにシルフィが見送っていた。果て亡き戦争に終止符を打つために彼等オルテンシアは戦場へと向かう。そして彼等は飛翔する……。
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