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「メイデイ!メイデイ!!機体がらやれた!身動きがとれない!至急応援を求む!!」
マイクの向こうから慌てふためく兵士の声が届く。
「シルフィ艦長!この宙域から救援信号です!発信はアルグネスト軍のものと思われます!!」
通信担当(C.I.C.)に艦長と呼ばれた女性はゆっくりと深呼吸をして瞳を開けた。確かな輝きと決意が彼女の眼からは滲み出ている。
「発信地を特定し、至急支援部隊を向かわせる。準備出来次第ドローン(無人機)を発進。オルテンシア1から4のパイロットは各自機体にて待機。」
眼鏡をかけた鋭い眼差しの艦長シルフィ・ラドクリフが指示を出す。その場にいるクルー達はその言葉に従いドローンを発進させる。やがてドローンが目標である機体を確認した。
「ラケシスに反応あり!現場宙域にディーバ反応確認!数は…3です!ドローン迎撃に向かっています!」
通信担当の声がブリッジに響く。ここはクラウス連邦所属の船モイラのブリッジだ。
「了解したわ。ハッチ開放、カタパルトオープン、各機隊出撃!!」
艦長であるシルフィの命令に答えてオルテンシアと呼ばれる小隊のバンツァドールがカタパルトに着く。
「オルテンシア1、ギリアム・トリスター…出るぜ!!」
自信に満ちた青年の声と共に初めの機体がカタパルトから宇宙へと飛び出して行く。
「オルテンシア2、ラスティ・サンライト…出ます!!」
それに続いて爽やかな好青年の声が続き出撃する。
「オルテンシア3、エリシア・ロア・アイデリーク…参ります!!」
歌う様に美しい声を残して少女が広大な宇宙へと飛び出した。
「オルテンシア4、アーネ・シュトレナーゼ…行きます!!」
エリシアに続いて熱い声の少女が続く。4人の若き戦士達は宙域に彷徨う破損したドールとドローンと激しい戦闘を広げている鳥の様な魚の様な怪物ディーバをレーダーで確認しつつ出撃した。
「アンタ達なんかにこの世界は渡さないから!!」
アーネは独白しながらディーバに近づいて行く。敵意の接近を察知したディーバもそれを迎え撃つ。しかし彼等の攻撃はアーネには届かない。
「人類を…嘗めるなあああ!!」
アーネはそう言って粒子状の剣を抜きディーバ目掛けて振り切る。真空のはずの宇宙に風が吹いたとまごう如くしなやかな軌跡がディーバを両断していた。
「まず、1匹……。」
アーネは呟きながらレーダーに目を走らせていた。
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