始まり

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「おはようございます」 朝早くに事務所を訪れると、そこには見慣れない男の子の姿があった。 (誰だろう?見たことないな…) 私は彼に向かい、軽く会釈をして自分のデスクに向かった。 「おはよう。タケルは?」 私に声を掛けてきたのは、マネージャーチーフの『桜木花南』(さくらぎかなん)さんだった。 「おはようございます。これから迎えに行きます」 挨拶もそこそこに、私は、 「あの子、誰ですか?」 「あーあ、うちの事務所に移籍して来た子よ」 「へぇー、そうなんですか」 他人事のように返事をし、デスクの上の書類を片付けながら、ふと、時計に目をやると、 「やばい!タケルの事迎えに行って来まーす」 そう言い残し、慌てて事務所を後にした。
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